ご挨拶

公益財団法人鹿児島奨学会 
第8代理事長
本田 勝彦
(元日本たばこ産業株式会社代表取締役社長)

 鹿児島奨学会同学舎では、「グローバルはまずローカルから」を基本方針としている。
多くの同学舎出身者が世界を舞台に活躍しているが、同学舎では、世界に出て自己主張し、
訴えるべき自己確立の基本を、同学舎時代にしっかり磨いて確立せよと指導している。
 同学舎では、毎年、舎生が企画立案し全国各地に国内研修旅行に出かける。
 そして4年に一回は必ず、「木曽三川」「関ヶ原島津退き」の岐阜県に出かけ、祖先達が遠
く故郷を離れた土地で如何に苦労したか、そして今もその地の方々に畏敬の念を持って
大変感謝されているのを直に見て、自分が薩摩の人間であることを実感するのである。
さらにもう一つ、「南洲翁遺訓」の荘内山形を訪ね、戊辰戦争で西郷隆盛が荘内藩に対し
て寛大な措置を取り、いかに感謝されているかを酒田の南洲神社や鶴岡の致道館を見て
実感し、さらに鹿児島県最大の百貨店由来の紅花の米沢を訪ね歴史の重みをかみしめる。

 出水出身のH.T君(東京大学法学部出身)は、もともとマラソン選手で、同学舎時代も登校前に、毎朝多摩丘陵を10キロ走り練磨して、
故郷のマラソン大会出場に帰郷するほど郷土に強い愛着を持っていた。学生時代は出水には弁護士が少ないからと弁護士を目指した時期も
あったが、その後、その情熱は鹿児島県政へ、やがて国家全体への熱情と変わり、日本を代表する中央官庁で働くこととなった。そして入省間
もない東北大震災直後から、東北のある市長の特別アドバイザーとして赴任し、財務関係の業務に専念する傍ら地元青年商工会議所会員と
協力して復興後の地元産業として、豊富な森林木材チップ活用自然エネルギー事業を立上げた。その後この木材エネルギー事業の郷土出水
への導入にも努力した。
 本省復帰後、シカゴ大学大学院に留学MPP(Master of Public Policy)取得を目指し、シカゴ大学大学院に留学。シカゴ大学は全米有数のス
パルタ教育で知られている。全世界から集まる俊秀との熾烈な競争が待ち受け、専門科目はもちろん、一般教養でもそれぞれの文化や歴史・民族・宗
教の話題が縦横無尽に飛び交う。その時に、19世紀に多くのアジア諸国が西欧列強の植民地となる中で、日本はアジア文化圏に属しながら、
西洋文明も取入れ独自の政治、経済、文化を構築して独立を保ってきたことを、歴史的事実や背景を交えながら理論的に説明して、欧米の級
友とも一段と深い関係を構築できたという。
 そして彼は、「グローバルに活躍するうえでローカルな根っこをきちんと持つこと、我々にとっての郷土・鹿児島とのつながりを持ち続けること
が重要。鹿児島の偉大な歴史に郷愁するだけでなく、その現代的な課題を理解し、その改善をコミットし続けることが大事。」と主張する。将に、
かねて同学舎が理念とする「グローバルはまずローカルから」である。
 百十余年前に、島津忠義公が「人を育てるには百年の計」として島津奨学資金を立上げて頂いた理念が、今も同学舎に脈々と生き続けている
ことを強く実感し感謝してやまない。

鹿児島奨学会同学舎 令和2年度幹事(寮長)

盛喜隆太(立教大学)

 

こんにちは。今年度の同学舎舎生幹事を務めさせていただきます、3年の盛喜隆太です。
この歴史ある寮の幹事を務めさせていただくことを大変光栄に思います。今年1年同学舎での生活がより良いものになりますようにしっかり貢献していく所存であります。
簡単ではありますが私が感じる同学舎の良さについて書かせていただきます。
まず、たくさんの方々の手厚い支えの中で生活できることです。朝起きた時、学校から帰って来たとき、管理人さんが毎日美味しい食事を用意してくださっています。常日頃から私たちの生活をサポートしてくださる事務長がいます。そして、私たちがより良い寮生活を遅れるようにOBの方々からも多大なご支援をいただいています。
次に世代を超えた繋がりです。学年関係なく同学舎の仲間と毎日、同じ釜の飯を食べたり、談話室で他愛のない話をしたり、グラウンドで共に汗を流したり、1つひとつが集団生活だからこそできる経験ばかりです。舎生で企画する国内旅行やスポーツ合宿などの行事も多々あり、学年を超えた繋がりを多く生んでいます。また、120年を超える歴史を持つ同学舎では、人生の大先輩となる方々とお会いさせていただく機会もあります。社会の第一線でご活躍されている先輩方のお話を聞くことで多くのことを学ぶことができます。
最後に周りの方々のサポートにより自分たちが恵まれた環境にいることに感謝して日々生活して参ります。今年は新型コロナウイルスによる影響を受けることが多いですが、その中でも舎生一同が楽しく、充実した時間を過ごせるよう私自身精進していきます。よろしくお願いします。